やはりよく写るレンズだ。そんで前回のレビューでも触れた像面湾曲は「少し」というより体感上ではかなり強く感じる。ピント面を上から見ると逆VかU字型っぽい形で画面端に近づくほど手前に反ってくる。端の解像度が低いのはこのせいだ。

石仏
1/400 F3.5 ISO100 SIGMA 19mm F2.8 DN
これくらい近いと像面湾曲も関係ない

この湾曲は至近距離での撮影だと反りが強くなる前に画面端に到達するのかほぼ目立たない。(U字の底だけ使ってる感じか)壁に貼った新聞紙でチェックするような人にも安心?だ。

これは外れ玉という訳でなく、SIGMAの公表してるMTFの30本/mmから想像するに元々そういう設計なのだろう。MTFチャートで像高5mmあたりから直線的に傾いていて、このあたりに被写体があると同じ物の左右でまるっきり解像感が変わってしまうので注意…してもしきれないのが何とも。低価格な19mmレンズとして見ればこんなもんか、とは思う。が、換算38mmの単焦点として使ってるのでけっこう気になってしまうのだ。

ネットでSIGMA 19mmの作例を漁ってみると、自分のと同じくらい湾曲しているものと「何で?」というくらい平面が出てるように見えるもの2通りあってちょっと混乱する。恐らく本体jpgとRAW現像ソフトの解像力差やアンシャープマスクの半径の違いでそう見えるのだと思う。(オリンパスの本体jpgだとえげつないシャープネスで解像感がごまかされるため湾曲が割と気にならない。)

それと片ボケか。自分のレンズは左に少し片ボケしているせいで像面が左手前に傾いている。そのため画面右よりも画面左の湾曲が目立つ。

神社
1/800 F3.5 ISO100 SIGMA 19mm F2.8 DN
F3.5でも配置次第でパンフォーカスに。ピントは中央奥の神社に合わせているが手前のオリンピックののぼりや左下隅の砂利にもピントはきている。

ピント位置は異様にシビアだ。理論上はF4でもフルサイズのF8相当な訳で、実はあまり絞らなくてもパンフォーカスに近い描写になる…はずなのだが。画面中央の被写界深度はセオリー通りに奥が深く手前に浅い。しかし両端に近づくほど手前にピント位置がズレるので奥は浅く手前に広いように見えてしまう。ピントの合って見える範囲は▲形の面がピント位置で前後するイメージ。これをよ~く頭に入れた上で構図とピント位置を決定しなくてはいけない。

面倒な話ではあるが、どうやらコントラストAFもアテにならないような感じ。確かにスモールターゲットで合わせた部分に合焦してはいるのだが、それがピントのピークを捉えていない事も多い。拡大+ピーキングで追い込んだほうが確実だ。とりあえずのお薦めは拡大率3倍+ピーキング弱で、背景とメインのピントのバランスを調節すると失敗は減る感じ。

SIGMA 19mmのスイートスポットはF3.5~4.5あたり。F8まで絞ると回折の影響でわずかに甘くなるようだ。もっとも、それはベストな状態でピシっと撮れた時の話で、たいていの写真ではほとんど差がわからない。

楽をしたい時はもう被写界深度優先でF8固定。それくらい絞った上でちょい遠めに合わせれば横構図の左右上隅以外はほぼピントがくるはず。

1/800 F8 ISO200 SIGMA 19mm F2.8 DN

そういえばE-M10Mk.2にはフォーカスブラケットがあったなぁと思い出したので試してみた。電子シャッターによる連射なので振動もなく画質への影響はなさそう。ほぼ無音なのが少し物足りないし、本当に撮れているのか不安になる。

他のカメラの電子シャッターで動きのない被写体でもローリング歪みが出る時があるという記事を読んだ事があったので気になっていたのだが、E-M10Mk.2で少し試した感じでは特に問題なし。しかしだ、通常の被写体にはフォーカスのステップが荒すぎて最低の『1』に設定しても使い物にならない事が判明。実質三脚立ててマクロで深度合成専用の機能か。