E-M10Mk2+RawTherapeeで空のノイズに悩む
ISO100を常用感度にしてからは解決したと思っていたE-M10Mk2のノイズがまたも気になってきた。
きっかけは春に撮った桜。これをRawTheprapeeでモノクロ化してみたら空のノイズがすんごく目立つ。桜は白い花弁が飛ばないように撮ると他がアンダー気味になりやすく、場合によっては空にノイズが乗りがちなのですね。
これの何が嫌かって、ピントのきている場所の精細感とCCDで感度を上げた時のような空に浮く斑のムラムラ感が同居、この画面全体の絵肌の不一致が実に気持ち悪い。もっとノイズの粒が細かければいいのだけれど…。
そして脳の認識システム的な問題ではありますが、一度気になってしまうとこれまで無視できていたカラー画像の斑が目につくようになってしまうのですわ。
E-M10Mk2の低感度で出るノイズの根本的な対策は「アンダー露出を避ける」これに尽きる。しかし今更遅いので現像でなんとかするしかない。
とりあえずはノイズリダクションをONでそのモノクロ画像についてはサクっと解決したのだが、カラーとなるとかなり難しい。あれこれ試しては見たものの結局は軽減止まり。今の自分の技術ではスッキリ消すと他への悪影響が大きすぎる。もう後はGIMPなどを使ってフィルムグレインを加えてごまかすのが楽かもしれない。
さんざん叩いてきたオリンパスのjpgだが、空のノイズ感のなさや各種収差の補正はかなり優秀だ。もちろん、その代償にディテールの消失や暗部描写の彩度がRTと比べ低下してたりする訳ですが。ただまあ楽なのは事実なので、せめてシャープネスの調整がもっとできれば使う気になるのだけれど…。
初代E-M10の時に使っていたCaptureOneは低感度のNRとディテールのバランスが良かったなぁとしみじみ思う。今はProしかなくてお高いから買う気になれないのが残念だ。もっとも、家の環境はもうじきLinuxに完全移行する。市販のRAW現像ソフトは使えなくなるので結局はRawTherapeeなどのフリーソフトで行くしかないんだよね。
2020/01追記
低輝度部分のトーンカーブはできるだけリニアで一直線のままを維持して、コントラストなど他のパラメータで調整を心掛けると斑の浮きを抑えられるようだ。このへんの余裕の無さはセンサーサイズ相応か。
RawTherapeeメモ
ただの備忘録なので、ちゃんとした解説が必要な方はもっと詳しく書かれたサイトが他所にあるかと思います。
AMaZEとDCB
両者の違いはほとんどわからない。200%くらいまで拡大すると非常に細かい物の描き方が少しだけ違うのは見えるけれど、どちらが正確な再現なのかというと…さっぱりわからん。少しだけAMaZEのほうが細部の解像感が高いか?緑チャネルだけを用いて形を捉えるDCB、それに対して赤・青チャネルも利用するAMaZE、それが微妙な違いになるらしい。
わずかにDCBのほうがラーメンノイズが出やすいような気もするが偶然かもしれず。細部を強調しすぎないDCBを最近は使用してます。それにデモザイクの方式的にSIGMA19mmの色収差の影響を受けにくそうかなぁと。
+VNG4
ノイズが多い場合デフォルトのAMaZEやDCBではなく、それに+VNG4となっているほうを使うのが推奨されてるようだ。込み入った描写のない部分にはノイズに強いVNG4、詳細な部分にはAMaZEと使い分けてくれる。
試した感じ、VNG4の効果は劇的ではなくちょっと緩和されるくらい。状況によってはノイズによる粒状感が潰されるぶん斑っぽさがむしろ強調されてしまう。
LMMSEとIGV
高ISO向けでノイズが発生しづらい代わりに細部描写が少し不自然になる。E-M10Mk2の場合、詳細部分の描写は同程度だが広い面積はIGVのほうが滑らかに見える。(画像によって変わるかもしれない。)
偽色抑制
どのデモザイクでも偽色抑制は低感度のノイズ感を減らす効果アリ。カラーノイズが偽色扱いされて潰されるのだろう。見た感じVNG4に近い効果。
Rawpediaでは回数を増やす毎に解像度が落ちると書かれているが、それよりも色が抜けていくほうが気になる。使うなら1回、多くても2回程度が適正か。
とりあえずノイズが気になる時は+VNG4と偽色抑制のどちらか片方、あるいは両方の適用を画像によって使い分け…ですかね。
グリーンの平衡化
Rawpediaによるとグリーンチャンネルに多少違いのある2つのフィルターを使っているカメラがあるらしく、オリンパスのカメラも該当すると書かれている。しかし緑の変化に敏感というDCBで数値を変えてもほとんど変化がない。おそらくPana製のセンサーかそれ以前のKodak製CCDを採用していた時代の話か?
80%を超えるとラーメンノイズ(滅多にない)がわずかに軽減と等倍でないとわからないレベルで細部描写の変化。たぶん使う必要なし。
色収差の補正
デモザイク前に適用されるのでちゃんと追い込めば描写がスッキリして解像感が上がる。数値に迷ったら300~400%まで拡大して確認。
RawPediaによると自動補正が最も効果が高いそうだが、少なくともSIGMA19mmにおいては全くアテにならない。LensfunのSIGMA19mm用プロファイルもあるけれど倍率色収差もけっこう残るから自分で調整したほうがいい感じ。E-M10Mk2+SIGMA19mmでLensfunの自動適用が効かないのはプロファイルに記載されてるレンズ名がExifと一致していないから。プロファイルの該当する箇所を書き換えればOK。
色ずれ回避はマゼンタ滲みの有無でON/OFF。どちらかというとONにしたほうが自然な色味だが、滲みがある場合は滲みを強調しがちなので切ったほうがいい。(※SIGMA19mmの話。OFFにするとそのぶん寒色寄りになる。完璧に近い所まで収差補正を追い込めればONでもだいたいOK。)
ノイズリダクション
以下のはあくまで低感度時に適用した場合の印象。
輝度ノイズ
詳細の回復込みで影響が出ない程度の数値を設定。ISO100では気休め、斑に対しては全くといってよいほど効かない。
感度を上げるとはっきりノイズが出てくるのでNRはうまく効くようになる。
色ノイズリダクション
空の描写を滑らかにしたい場合、色NRは輝度よりも効きが良い感じ。
低感度では自動やプレビュー方式だと非常に細かい描写を色ノイズと判断して消されがち。空のノイズが消えるレベルで効かせるとエラい事になる。これは色ノイズ低減カーブの調整でカバーできる時もあるが画像によりけり。手動設定で数値を0にして働かせないほうがいい時も多い。
なお、モノクロだと色NRの自動設定はとても有効で、調子の変化なども感じられない。
プレビュー方式を使う場合は画像を100%ないし200%表示にしてNRのチェックをONにすると表示範囲内から自動でノイズを検出して数値を設定してくれる。効果と悪影響のバランスがちょうどいい場所を見つけたら「手動」に切り替え、これで数値が固定される。(しないとコロコロ変わってしまう)
SIGMA19mmでは色NRの自動設定が使いづらい。それは軸上色収差由来とおぼしきマゼンタの滲みがあるからだ。色NRをONにするとこれがもわーんと目立ってきたり、NRが滲み周辺の色をごっそり消したりするのですわ。マゼンタ滲みの出ていないカットなら自動設定もそこそこ使えるのだが…。
カラーバランスを適正にするのも大事。(SIGMA19mmの場合)狂っていると色ノイズや収差のマゼンタ滲みが強調されやすい。もっとも色の場合、適正ってなんだ?という問題があるが…。画像を作れる環境があるのならフラットフィールド補正が有効かもしれない。
メディアンフィルター
細かいノイズを潰すのに有効なのだが空に浮き出る斑は対象として大きすぎるか。
効果は色のみよりも輝度やLab・RGBでかけたほうが消えやすい。しかし範囲や回数を増やす毎にディテールが消失し塗り潰し感の強い人工的な画になってしまう。一応はアンシャープマスクで鈍った輝度情報をある程度回復させる事は可能で、だいたいUSMなしとUSM+MFが同じくらいにはなるか。
メディアンフィルターを色のみでかけるとディテールは保たれるが斑に対しての効果は低め。とはいえ範囲を5x5px程度まで広げるとかなり目立たなくなる。その代わりほとんど気づかない程度ではあるが色への影響はある。