E-M10 MarkII スポット測光と露出計
今回の話は「90%以上の人には関係ないけれど、困る人は困るよね」そういうお話です。
基本的な撮影設定は初代E-M10から全く変わらずAモード(絞り優先)に多分割測光だ。同時記録のjpgは過剰な黄と緑を抜くため色をA-1・G-1に設定。EVFの違和感調整で彩度を-1、コントラストを-2。シャープネスもきついので-1。ノイズリダクション関連は全て最低。 MarkIIにしてからは以前は使わなかったISO100を多用(ISO200より画像がクリア、詳細は別記事)。そして新に「Mモード+スポット測光+OVFシミュレーション」というMySetを加えた。これはワンプッシュでいつでも呼び出せるようしてある。
傍から見たら「今時EVFのあるカメラでMモードにスポット測光なんてアホか」と思われるような設定だ。
発端はMarkIIのEVFは飛び潰れの露出確認が今イチ信用できないという事。それにもともと初代E-M10でも反射光や日差しが強烈な状況などではEVFがアテにならなかったし。ならば明らかにEVFがダメそうな時はいっそスポット測光を使ったほうが早くて確実なのでは?となる訳だ。
スポット測光の理想と現実
E-M10MarkIIの設定をよく見ると通常とAEロック時とで測光方式を個別に設定できるようになっている。これを最初に見た時は「やるじゃない!」と思った。Minoltaのカメラのように多分割や中央重点からのAEロックでシームレスにスポット測光に移行して飛び潰れを確認できる…と思ったのだ。
現実は非情である。 まず、シャッター半押しからのAEロックなどでは機能せず、個別に割り当てたAEロックボタンを使用する必要がある。そして挙動はAEロックボタンを押すとAEロック用に設定した測光方式で測った値でロックするだけだった。
もう一つ、今更ながらに気づいたのだが、EVF下部に表示されてるバー表示、あれ露出計だとず~っと思っていた。しかし説明書をよくよく読んでみるとあれは露出補正バー表示だそうな。つまりバーには補正値しか表示されないのだ。これの何が問題かっていうとAEロックした時の値と現在スポットサークル内にあるものとの輝度差を測る術がないって事である。
それぞれ個別に露出を測って頭の中で輝度差が何段あるのか暗算しなくちゃならないのは非常に困る(昔はやってたんだけどね…)。設定した値に対してシャドーやハイライトが範囲内に収まっているかスポットサークルを明・暗部にかざしただけで確認できるか否かの違いは大きい。
そして唯一、露出補正バーが露出計として機能するのがMモードなのだ。マルチスポットもできない訳だし、スポット測光をストレスなく使うには「Mモード」+「スポット測光」+「EVFがアテにならない状況用のOVFシミュレーション」という組み合わせがいい。
Mモードだと露出補正値をいちいち戻す必要がないのも地味に便利。Aモードで±2.7とかからダイヤル回して0に戻したり±逆の値にするのって親指を痛めてる身としては辛いのだ。PENTAXのハイパーマニュアルみたいな機能があれば楽なんだけど。 (もちろん、シャドーかハイライトどちらかがわかれば事足りる場面も多いのでAEロックにスポット測光を設定もしてはいる。)
ポジフィルムで撮影した経験があればMモード+スポット測光はDレンジがそれなりに広いのでフィルムよりかなり楽。
E-M10系の多分割測光はかなり優秀だと思うが場面によっては外すし、慣れてくると「ここは外すな」と読めるようになる。(この外す傾向が予想しやすいというのは使いやすくて良いです。) そしてこういう場面でMモード+スポット測光なら一発でほぼ意図通りに仕上るのが「俺の勘もまだ捨てたもんじゃないなぁ」と妙な達成感があったりするのがちょっと楽しい。
デジタルを使い始めてからはスポット測光なんてめったに使わなかったのだが、EVF機でこんな使いかたをするとは思いもしなかった。
よくわからないのがスポット測光にハイライト基準とシャドー基準の2つが加わってるのだよな。ハイライト・シャドーボタンがあるなら一発で設定できるから有用だと思うが、E-M10mk2での測光モードはスーパーコンパネから変更になるから面倒。どちらかしか測らない人しか使い道はないんじゃないかなぁ。三種類を簡単に使いわけできる操作系が用意されていれば便利なんだろうけど。マイセットで使い分けろって事か?
フィルム時代のAF一眼レフで露出のバー表示が一般化されたのって輝度差が直感的に把握しやすいからな訳です。正直なところ露出補正値の確認しかできないのであればバーなんて必要なくて数字だけでも十分。実際、EVFで水準器ONだと半押し中に露出補正バーと入れ替わって表示され補正値は数字のみになるんだし。Mモード以外でも露出計としてちゃんと輝度差がわかる表示設定もつけて欲しいですわ。